シネマ探訪 2

persepolis
邦題:ペルセポリス (2007年 フランス)
監督・脚本:マルジャン・サトラピ/ヴァンサン・パロノー

マルジャン・サトラピ監督の自伝である同名のグラフィックノベル(graphic novel; 大人の読者を対象としたストーリー性のあるアニメーション)を映画化したもの。なお、タイトルの「ペルセポリス」とはイランの世界遺産にも登録されている、かつてのペルシア帝国の都である。

単館上映の作品なので学生さんからチケットを頂かなかったら、さらに、カンヌ国際映画祭で賞を受賞し、声で出演にカトリーヌ・ドヌーブ、という説明がなかったら、「モノクロのアニメーション」を観る選択肢は自分にはなかったかもしれない。
しかし、観てみてどっこい、これが、なかなか興味深い作品であった。

タイトルからわかるように物語の舞台はイラン。1970年代末のイスラム革命から1980年代のイラン・イラク戦争までの政治的変動に人生を左右されながらも、家族の温かさに支えられ、強い女性として成長する主人公を描いている。

イランについての歴史的事実を知ってはいても、その国に住む人たちが何を考え、感じているかを知る機会はあまりない。たくさんの血が流れ、目をそむけたくなる事実の中で登場人物が経験した悲しく辛い感情の部分と、「あ、そういう部分もあるんだ、やっぱりね」と共感できる部分の両面が含まれている。それが、実写ではなく、モノクロで、かつ、デフォルメされたアニメーションで表現されているからこそ、真実味を帯びて感じる。

細部までこだわり、すべてを詳細に見せることも、真実を知らせるための表現方法の1つである。しかし、その真逆とも言えるモノクロ、デフォルメ、という手法も真実をより良く反映するのではないだろうか。ストーリーのテンポをよくし、95分という短い時間にたくさんの内容を詰め込んでいても重く感じない。これが、観客に考える余地を与えてくれ、観客の判断が加わることで「現実らしさ」ができあがるのかもしれない。

trackbacks

trackbackURL: